銀色の刻-その2。

お昼前、泥のような眠りから無理やり起こされた僕は、友達との約束のため出かけた。
その日、彼女がどんな思いで1日を過ごしていたかはわからない。
少なくとも僕は、なんとなくうきうきした気持ちで過ごしていた。
これで終わりじゃないという思いがどこかにあったんだと思う。

夕方、いつもの居酒屋で飲み会が行われることになっていた。
ここには彼女の旦那も参加する予定だったんだけど・・・来なかった。
あとで聞いてみたところによると、朝方まで一睡もできずに嫁の帰りを待っていて、心配で体調を崩してしまったらしい。
彼女自身も相当怒られて、(彼女の口からは出なかったが)旦那は僕への不信感も抱いたようだ。もちろん僕と一緒にいたことは内緒にしてあるはずだけど、何かを察したんだと思う。
そんな状態で彼女を置いて帰るなんて、それなりに自信がある証拠なんだろう。

飲み会中の彼女は至って普通の態度だった。
席が離れていたので直接会話もしなかったけど。

終わったあとも夜中まで別の場所で飲んで、みんなには悟られないよう別々に帰り、途中で落ち合った。

そのままマンションまで行ったところで、彼女が言った。
「こないだおいしいって言ってた焼酎があるんだけど、飲んでいきますか?」

まさかこのタイミングで部屋に入れるとは思わなかったので、びっくりした。
秘密主義の彼女にとって、そして旦那にとっても、マンションの部屋は聖域のハズだ。
僕は、単純にうれしかった。
彼女の部屋は、確かに二人住まいといった感じで、僕の知らない二人の生活があった。
過去を想像させる、おそらくは思い出の品なんだろうといったものもあった。

そんな部屋の中で、僕たちは罪を犯した。

何がどうなってそうなったのか、僕も彼女も酔っていたのであまり良く覚えていない。
けど、最終的に抱き合った。
衣服を脱いで(というか、脱がして)、愛をささやき合った。
詳しい描写は避けるけど、残念ながら最後までは行ってない。


あー・・・。
なんだか書いてるうちにどんどん外連味が出てきていることには、前々回辺りから気付いてます。
一人で盛り上がってしまっているだけなので、もうちょっとだけお付き合いください。
すみません。


あれだけの別れがあった翌日だというのに、二人の関係は後退するどころか、さらにもう一歩踏み込んでしまった。


翌日は仕事だったわけだけど、死ぬほど眠かったのは語るまでもないと思う。