カリキュレーター・カノジョ。

9月の連休からこっち、彼女と会わない日は数えるほどしかなかった。
1日空けることはあっても、会わない日が2日と続くことはなかったんだけど…先日は2日空いてしまった。それどころか、危うく3日会えないところだった。

それというのも、ちょっとしたアクシデントが続いてしまったため。

一つは、彼女のプリンターが使えなかったので、僕が代りに写真の印刷をしていたから。
その間、彼女はバンドの練習に行っていた。

もう一つは、その練習の時にA君とちょっとした催しに行く約束をされてしまい、数少ない彼女の自由な時間をA君に取られてしまったから。

正確に言うと、印刷日と催し日の間に会ってはいる。
ただ、それは旦那と一緒…3人で会っていたのだ。
彼女はそういうことを気にしないタイプなのか、案外普通に「旦那も一緒だけどいいですか?」なんて聞いてくる。
さすがにキツイなー…と思うけど、言えない。
どんな形でも会いたいから。
惚れた弱みって言葉をたまに聞くけど、これは結構マズイ状況だと認識している。
僕にとっても彼女にとっても、重荷にならないように注意しなければ。

そんなこんなで、彼女がA君と遊びに行っている間はヤキモキしていた。
何もないだろうとは思うけど・・・こう言ってはなんだけど、彼女には僕という前科がある。
彼女は真面目なタイプの人なので全面的に信用はしているものの、どうしても不安になってしまう。
詳しく聞いたわけではないので、お出かけ中に何かあったのかどうかはわからない。


その日の夜は、また彼女にお手伝いを頼まれていたので、いつもの居酒屋で待っていた。
久しぶりに二人だけで会えると思うと、ちょっとワクワクした。
途中A君から連絡があり、近くで飲んでいるから合流しないかとのこと。
しかし場所がわからなかったのでスルー。
すると今度は彼女からメールがあり、A君がいる店に行きたいんだけど場所がわからないとのこと。
結局彼女はA君のところに行ってしまい、僕はイライラするばかり。
A君からは、その店が早く閉まるのであとで合流するというメールが入っていたけど、僕は途中で面倒臭くなって帰ってしまった。

すると彼女から慌てた様子で電話が入った。どうして帰っちゃったんですか、と。
自分もすぐに店を出るから、なんとか手伝ってほしいと言われ、再度出かける…。
弱いな。
それでもちょっと腹が立ったので、なんでこんなに遅くまでA君と飲んでいたのか聞いてみると、A君の友達でドラムをやっている人が一緒にいて、彼女のバンドでも叩いてくれるようにお願いしていたのだそうだ。
二人きりじゃなかったこと(偶然だが、店にはさらにもう一人共通の友達もいた)がわかり、僕の頬は自然とほころんでいたに違いない。


その夜、今にも寝てしまいそうな彼女を叱咤激励しながら作業をして、さらになんとかお風呂にも入らせた。彼女はお風呂に入らないとベッドで眠れない。

彼女は「お風呂場から出てこなかったら寝てるかもしれないので、起こしてください」と言い残して入っていった。
なんとなくわかっていたが、案の定いつまで経っても出てこない。
仕方なく声をかけて覗いてみると、浴槽に寄りかかるように寝ていた。

これを見て「今日の埋め合わせにサービスしてくれたつもりなのかな」なんて思ったけど、もちろん内緒だ。

とは言っても、そんな彼女に嫌な想いを抱いているわけではなく、もしこれが計算だったとしても、わかりやすくてかわいいなと思っているんだけど。