フェルゼンの憂鬱。

先日彼女と電話していたら、「A君のことは全部解決したから大丈夫です」と言っていた。
それ以上の詳細は不明。
それ以前に、なんでそんな話題を出してきたのかも不明。
やっぱりお出かけ中に何か話しがあったのだろうか?
それとも僕が気にしてそうだったから?
うーん・・・やきもきやきもき。


そうそう、昨夜は彼女の誘いで宝塚を観てきた。
宝塚どころかミュージカル的なもの自体初体験。
そもそも舞台が好きではなかった。
今年の夏まで一度たりとも観劇したことがなかったので、食わず嫌いだろうとわかっていたけど。
実際、今夏初めて友人の友人がやっているという舞台を観て、(友人が呆れるくらいカオスな内容だったにも関わらず)なかなかおもしろいものだなぁと思った。
もっとまともな作品であればもっとおもしろいんじゃないかと思っていたところだったので、ちょうどいいタイミング。
しかも彼女は昔からの宝塚ファン。
観たいとも観たくないとも話した覚えはないので、なんで僕を誘ったのかは謎だけど、いいチャンスだった。

公演の合間や終わってからの彼女の話を聞くと、今回のはあまりオススメじゃなかったそうだ。おもしろい公演は年に1回あればいい方で、残りはお目当ての人を見るためだけに存在するんだって。
でも、どの公演がおもしろい(=当たり)かは観てみないとわからないので、結局劇場に足を運んでしまうらしい。

いやぁ、しかし好きな人の感想っていうのはキビシイですね。
僕としては『ちょっと観てみたかった』程度の気持ちで来てるので、大して期待もしてなかったし、実際観てみたらそれなりに楽しめたので満足だったんだけど・・・彼女の口からは割と否定的な意見が多くて、若干辟易してしまった。
それでも楽しそうに話してたので、おそらく否定的な意見を言うのも楽しみの一つなんだろうな。
それにしても・・・男役ってなんであんなに男のいやな部分を強調したがるんだろう?
最後のショーでセンターだった人(多分ベルばらのアンドレ役だった人)が、途中からどうしてもニコラス・ケイジにしか見えなくて、かっこつけるたびに笑いそうで堪えるのに苦労した。


そのあと軽く食事をして、特にスキンシップもないまま帰りました。
しらふの彼女とちゃんとデートしたいなぁ。

カリキュレーター・カノジョ。

9月の連休からこっち、彼女と会わない日は数えるほどしかなかった。
1日空けることはあっても、会わない日が2日と続くことはなかったんだけど…先日は2日空いてしまった。それどころか、危うく3日会えないところだった。

それというのも、ちょっとしたアクシデントが続いてしまったため。

一つは、彼女のプリンターが使えなかったので、僕が代りに写真の印刷をしていたから。
その間、彼女はバンドの練習に行っていた。

もう一つは、その練習の時にA君とちょっとした催しに行く約束をされてしまい、数少ない彼女の自由な時間をA君に取られてしまったから。

正確に言うと、印刷日と催し日の間に会ってはいる。
ただ、それは旦那と一緒…3人で会っていたのだ。
彼女はそういうことを気にしないタイプなのか、案外普通に「旦那も一緒だけどいいですか?」なんて聞いてくる。
さすがにキツイなー…と思うけど、言えない。
どんな形でも会いたいから。
惚れた弱みって言葉をたまに聞くけど、これは結構マズイ状況だと認識している。
僕にとっても彼女にとっても、重荷にならないように注意しなければ。

そんなこんなで、彼女がA君と遊びに行っている間はヤキモキしていた。
何もないだろうとは思うけど・・・こう言ってはなんだけど、彼女には僕という前科がある。
彼女は真面目なタイプの人なので全面的に信用はしているものの、どうしても不安になってしまう。
詳しく聞いたわけではないので、お出かけ中に何かあったのかどうかはわからない。


その日の夜は、また彼女にお手伝いを頼まれていたので、いつもの居酒屋で待っていた。
久しぶりに二人だけで会えると思うと、ちょっとワクワクした。
途中A君から連絡があり、近くで飲んでいるから合流しないかとのこと。
しかし場所がわからなかったのでスルー。
すると今度は彼女からメールがあり、A君がいる店に行きたいんだけど場所がわからないとのこと。
結局彼女はA君のところに行ってしまい、僕はイライラするばかり。
A君からは、その店が早く閉まるのであとで合流するというメールが入っていたけど、僕は途中で面倒臭くなって帰ってしまった。

すると彼女から慌てた様子で電話が入った。どうして帰っちゃったんですか、と。
自分もすぐに店を出るから、なんとか手伝ってほしいと言われ、再度出かける…。
弱いな。
それでもちょっと腹が立ったので、なんでこんなに遅くまでA君と飲んでいたのか聞いてみると、A君の友達でドラムをやっている人が一緒にいて、彼女のバンドでも叩いてくれるようにお願いしていたのだそうだ。
二人きりじゃなかったこと(偶然だが、店にはさらにもう一人共通の友達もいた)がわかり、僕の頬は自然とほころんでいたに違いない。


その夜、今にも寝てしまいそうな彼女を叱咤激励しながら作業をして、さらになんとかお風呂にも入らせた。彼女はお風呂に入らないとベッドで眠れない。

彼女は「お風呂場から出てこなかったら寝てるかもしれないので、起こしてください」と言い残して入っていった。
なんとなくわかっていたが、案の定いつまで経っても出てこない。
仕方なく声をかけて覗いてみると、浴槽に寄りかかるように寝ていた。

これを見て「今日の埋め合わせにサービスしてくれたつもりなのかな」なんて思ったけど、もちろん内緒だ。

とは言っても、そんな彼女に嫌な想いを抱いているわけではなく、もしこれが計算だったとしても、わかりやすくてかわいいなと思っているんだけど。

眠り姫の意識。

10月に入ってからというもの、意識のある彼女とキスをしたのは数えるほどしかない。
キスしたり必要以上のスキンシップを図ると怒られるからだ。
調子に乗って脱がしてしまって以来、彼女も(ダメと言った手前)怒らざるを得ないところがあるのだろう。

意識のある彼女とはキスしていないけど、意識のない彼女とは頻繁にしている。

裏返せば、僕の前で意識をなくすことが極端に多くなったということ。
元々スイッチが切れたように眠るタイプらしく、今までは緊張感やら警戒心やらが自制していたんだろう。
エッチこそしていないものの、近いところまで行った仲ということもあって安心しているのかもしれない。
僕にとっては嬉しいことでもあり、ちゃんとしたコミュニケーションが取れないという意味では悲しいことでもあった。

初めて意識をなくした彼女を運んだのは、10月の連休。
いつものように飲んだ帰り、マンションの前で頬を撫でていると、目を閉じてうっとりしていた彼女が僕の胸に顔を埋めてきた。
最初は「珍しく甘えてきたのかな」と思ったけど、5分経っても10分経ってもそのまま。
あれ、と思ったときにはすっかり熟睡していた。

この頃、僕はまだ彼女のマンションのカギの開け方を良く知らなかった。
しかも、その前日には旦那が部屋にいたのを知っている。
連休最終日の未明ということで、まだ部屋にいる可能性は充分過ぎるほどあった。
彼女を抱えて部屋まで上がれたとして、そこで旦那と鉢合わせなんてことになったら洒落にならない。
一瞬の間に僕の想像力はフル回転して、最終的に自分の部屋まで持ち帰るという決断を下した。

幸い彼女のマンションの前は頻繁にタクシーが通る。
1分も経たずにタクシーを捕まえ、怪訝な顔の運転手にワンメーター先の自宅の場所を伝え、彼女を運び込んだ。
彼女を部屋まで抱え上げ、一緒になって布団にもぐりこむ。
彼女の温かい体が僕の心まで温めてくれるような気がした。

それからというもの、マンションの前で頬を撫で始めると、彼女は途端に意識を失うようになった。それも、僅か1分足らずで。
寝ている彼女の唇を奪うと、彼女も舌を絡ませ、求めてくる。
意識のある中で求めることができないために、仕方なく寝ているフリをしているのかな・・・と思ったりもするけど、本当のところはよくわからないし、どちらでもいいことではある。

僕は毎回毎回彼女を部屋まで抱え上げて、彼女の寝顔をひとしきり眺めてから帰路に就くという日々を繰り返している。

嬉しいやら悲しいやら。

すれ違い。

前回のエントリーで「リアルに追いついた」なんて書いたけど、ひとつ書き忘れてたことに気付きました。
最初の頃("きっかけ"のエントリー)に「自分が結婚してるってことを知らない人には、積極的に教えないでください」みたいなことを言われたことがあるって書いた。
これが元でちょっとした問題があった。

僕の部屋でバンドメンバーたちと鍋パーティをしたときのこと。
深夜1時くらいだったか、鍋が終わってみんなが帰ったあと、途中まで帰っていった彼女を電話で呼び戻した。
二人で飲み直そうって言って戻らせたんだけど、彼女はかなり眠そうで、何をするでもなくそのまま二人で布団にもぐりこんだ。そして、彼女の背中を抱きながらポツポツとした会話を続けてた。

実はちょっと前から気になることがあって、軽く話を振ってみた。
バンドメンバーの一人(A君とする)が、どうも彼女のことをお気に入りみたい。
鍋パの間も頻繁に彼女を気遣っていて、帰りがけには一緒に帰りたそうな顔をしていた。
何度も書くけど、バンドメンバーは(一応)彼女が既婚者だってことを知らない。
もう一人のギター(B君とする)は、鍋パのときに結婚の話を振ってきたりして、もしかして薄々勘付いてるんじゃないかなぁと思っていたけど、A君は純粋な男なので気づいてはいなかっただろう。
彼女本人もA君の振舞いに何がしかを感じていたらしく、それまでの眠そうな表情が吹き飛んでしまい、やっぱりそう思うでしょ、どうしたらいいかわからない、とリアルに頭を抱え初めてしまった。
A君と彼女は、意外なことに二人だけになったことがほとんどないらしい。
いつもメンバーの誰かと一緒だったので、「まだ二人きりで出かけようって誘われてないから大丈夫だよね」なんて言っていた。

正直なところ、僕も同じような立場なのでなんとアドバイスしていいかわからなかった。
とりあえず気を付けておいた方がいいかもね、なんてことしか言えなくて歯がゆい。
立場が微妙ってことで言えない言葉が多いなぁと、改めて実感した。


で、その翌日。

昼間、彼女から電話がきた。
何かと思えば…A君に二人で朝食を食べようと誘われたそうだ。
昨日の今日でそれってタイミングいいね、なんて冗談めかして言ってみたけど、彼女にとってはそれどころじゃなかったみたい。
どうしようどうしようの連発で、オロオロしていた。
結局朝は忙しいので夜にしようという話になったらしく、翌日の夜にA君おすすめのカフェに行くことになったようだ。

その晩はまたも酔い潰れてしまった彼女を部屋まで送り、次の日が日曜日だったので、僕もそのまま彼女の部屋のリビングで寝てしまった。
で、A君の誘いを断っておきながら二人で朝食へ出かけてしまい、若干の罪悪感と同時にちょっとだけ優越感に浸っている自分がいて、少しだけ反省した。

その日は夕方までいくつかやることがあった(彼女に頼まれてお手伝いしてた)ので、二人で作業。
その後軽めに食事をしてから彼女を送り出し、僕は別の居酒屋で友達と飲んでいた。
すると途中で彼女から連絡が入り、A君と一緒に合流してきた。
A君は僕らのテーブルに来るなり「結婚してんじゃん!結婚してんじゃん!」と2回も言った。
どうやら彼女が正直に話したようだ。
よっぽどショックだったんだろうなぁ・・・。

彼には気の毒だけど、これで不安の種がなくなって僕も一安心…と思いきや、先日二人だけでちょっとした催し物を見に行くことになったという報告があった。

A君、諦めきれていないようだな。

彼女にしてみれば仲の良い友達が増えたのが嬉しいのだろう。
災い転じて…ってところか。
彼女はそういう絆を強く求める傾向がある。

ただ、僕にしてみれば、旦那というボスの他にA君という中ボスが現れたようで、なんとも複雑な気持ち。
これ以外にもいろいろと敵が多いのに。
世間体とか両家の親族とか彼女の友達とか彼女の会社とか…考えただけで憂欝になる。
いつまでたっても障害は多くなるばかり。
身も心も休まる暇がない…。

唯一のやすらぎは、彼女と二人きりの時だけ。
二人の時間をもっと大切に過ごそうと思う。

実りの季節。

衝撃的展開のあったシルバーウィークが終わり、平穏な日々が続いて・・・はいなかった。
そのあとも毎日のように会い、この不安定な関係がいつ崩れるのかと気が気でなかった。

ある日曜日、また彼女の部屋に行ったんだけど・・・酔った彼女を調子に乗って脱がしてしまった。
彼女は覚えてないらしいんだけど、起きてから乱れた衣服で気付いたみたいで、あんまり近くにきちゃダメですって言われてヘコんだ。

と言いつつも、そんな言葉は真実ではなく、ちょっと触れても「もぅ!」なんて言ってかわいくふくれるだけ。
その顔が見たくて、ついイタズラしてしまったり。

旦那が単身赴任先に帰ったその日の夜に呼び出されるなんてことも普通になり、決して安定しているわけではないものの、思いは定着したようだ。
長かった熱情のような季節が終わって、実りの秋が訪れたのかもしれない。

ただ、二人の立場に変化があるはずもなく、相変わらずの不毛な関係を続けている。


ここまででエントリーがリアルに追いついた。
いくつか端折ったり、意図的に改変してある部分もあるけど、大まかな流れとして問題はないはず。


今後このダイアリーがどんな内容になるか、僕にはわかりません。
ここから先はリアルタイムで起きたことを綴っていきます。

もし読んでくれている方がいたら、もうしばらく見守っていてください。

銀色の刻-その2。

お昼前、泥のような眠りから無理やり起こされた僕は、友達との約束のため出かけた。
その日、彼女がどんな思いで1日を過ごしていたかはわからない。
少なくとも僕は、なんとなくうきうきした気持ちで過ごしていた。
これで終わりじゃないという思いがどこかにあったんだと思う。

夕方、いつもの居酒屋で飲み会が行われることになっていた。
ここには彼女の旦那も参加する予定だったんだけど・・・来なかった。
あとで聞いてみたところによると、朝方まで一睡もできずに嫁の帰りを待っていて、心配で体調を崩してしまったらしい。
彼女自身も相当怒られて、(彼女の口からは出なかったが)旦那は僕への不信感も抱いたようだ。もちろん僕と一緒にいたことは内緒にしてあるはずだけど、何かを察したんだと思う。
そんな状態で彼女を置いて帰るなんて、それなりに自信がある証拠なんだろう。

飲み会中の彼女は至って普通の態度だった。
席が離れていたので直接会話もしなかったけど。

終わったあとも夜中まで別の場所で飲んで、みんなには悟られないよう別々に帰り、途中で落ち合った。

そのままマンションまで行ったところで、彼女が言った。
「こないだおいしいって言ってた焼酎があるんだけど、飲んでいきますか?」

まさかこのタイミングで部屋に入れるとは思わなかったので、びっくりした。
秘密主義の彼女にとって、そして旦那にとっても、マンションの部屋は聖域のハズだ。
僕は、単純にうれしかった。
彼女の部屋は、確かに二人住まいといった感じで、僕の知らない二人の生活があった。
過去を想像させる、おそらくは思い出の品なんだろうといったものもあった。

そんな部屋の中で、僕たちは罪を犯した。

何がどうなってそうなったのか、僕も彼女も酔っていたのであまり良く覚えていない。
けど、最終的に抱き合った。
衣服を脱いで(というか、脱がして)、愛をささやき合った。
詳しい描写は避けるけど、残念ながら最後までは行ってない。


あー・・・。
なんだか書いてるうちにどんどん外連味が出てきていることには、前々回辺りから気付いてます。
一人で盛り上がってしまっているだけなので、もうちょっとだけお付き合いください。
すみません。


あれだけの別れがあった翌日だというのに、二人の関係は後退するどころか、さらにもう一歩踏み込んでしまった。


翌日は仕事だったわけだけど、死ぬほど眠かったのは語るまでもないと思う。

銀色の刻。

秋の大型連休の1週間前、海旅行の幹事だった友達が、隣町から引っ越してきた。
みんなで引越祝い(という名目の宴会)をしようってことで、彼女の旦那とも久しぶりに顔を合わせた。

この時、僕はちょっとした目標を立てて実行した。
彼と会ったとき、素知らぬ顔で左手を差し出す。
これは自分の中の決意表明でもあった。
左手でする握手は、彼への宣戦布告だ。
あっさりとミッションコンプリートしたけど、彼は気づいただろうか?


そしてシルバーウィーク。
僕は彼女をドライブへと誘っていた。
彼女は当初、連休で帰ってきていた旦那も一緒に連れて行こうとしていたようだ。

それじゃ僕はただの運転手になってしまいますね。

これは笑うしかない。
さすがに旦那も空気を読んだのか、ちょっと行きたいところがあるってことでその日は別行動になった。
僕はほっとした半面、若干の罪悪感もありドキドキしていた。
そんな僕の焦燥を余所に、彼女は相変わらず車内でしゃべりまくっていた。

ただ、ひとつだけ今までと違うところがあった。
それまでは自分の話をするばかりだったんだけど、僕があまり自分のことを話さなかったからか、僕に色々と質問を投げかけてきた。
昔の彼女のことや好みのタイプ、学生時代の話や今の仕事の話などなど。
彼女は僕の話を聞きながら楽しそうにしていた。
僕も、そんな彼女を見て楽しくなった。


夕方、車内で彼女が泣いた。

数ヶ月前、彼女の親友が亡くなったそうだ。
そのこともあって、一人になりたくなくて夜遅くまで飲み歩いたりしていたらしい。
駐車場に車を止めて、落ち着くまで頭を撫でた。

泣きやんでからは安心したのか、ちょっと照れくさそうにしていて可愛らしかった。


そして翌日の夜。
この日もまた友達と飲んでいた彼女と合流し、マンションの前まで送り届けた。
すると、彼女はまた親友を思い出して泣き始めてしまった。
頭を撫でる僕の手が彼女の涙をぬぐい、化粧っ気のない唇に触れた。


僕は彼女が愛おしくて、ついキスしてしまった。


一拍置いて、ハっとした彼女の顔が僕を見つめた。

「私のこと・・・好きだったんですか・・・」

しまった、失敗した!
・・・ここまでうまくやってきたつもりだったのに。
「うん・・・好き。ゴメン。」
僕は謝るしかなかった。

彼女は、また泣き始めた。
「既婚者だって知ってるのにどうして・・・
恋愛対象としてしか見てくれないなら、ダメだとわかった途端にあなたまで私から離れていってしまう・・・」
そういって号泣した。

ひとしきり泣いて、少しは落ち着いたんだろう。
ちょっと歩きましょうと行って、立ち上がった。

近くの駐車場まで来て、彼女はこういった。
「今日を最後に、好きの気持ちを全て放出してください。」

僕はこう返した。
「今日は・・・いいの?」

「はい・・・。」

僕は彼女の体を強く抱きしめた。
それだけでは飽き足らず、キス。
彼女も自分から僕の唇を求めてきた。
彼女の携帯は鳴りっぱなし。相手はもちろん旦那。
それを無視して、僕たちは夜が明けるまで唇を合わせ続けた。

そらが白々と輝きだした時間。
体中を蚊に刺され、それを見て二人で笑った。
そして、手をつないでマンションまで戻った。

これで終わり。
明日からはまた友達。
そう言って、悲しそうな笑顔の彼女と別れた。

僕も、嬉しくて悲しい複雑な気持ちのまま帰路に就いた。